ストーリー

2018年大阪で上演された「零式艦上戦闘機」を基軸に
今作のテーマである「戦闘機」に焦点を当て
新たなエピソードを加え、三幕構成にて上演



[第一話 堀越二郎編(主演:石田直也)]

飛行機に魅せられた堀越二郎(石田直也)は、航空機設計の夢を追って「三菱内燃機製造」に入社した。
そして、戦闘機設計の主任を任される。
軍より次々と要求される難解な条件に、試行錯誤の日々。
信頼する仲間たちと共に、何度も失敗と挫折を重ねながら…。
遂に、世界に類を見ない、最高水準の戦闘機を完成させる。
それこそが、「零式艦上戦闘機」。
速度、格闘性能、航続距離。どの力も兼ね備えた傑作であった。

1940年7月。海軍に制式採用される。無敵の戦闘機を手にした日本。
太平洋戦争に参戦する一つの大きなきっかけとなった。
達成感に満たされるはずの堀越の心中は、穏やかではなかった…。



[第二話 山口多聞編(主演:山本誠大)]

1942年5月。日本海軍は、ミッドウェー島攻略のため、
四隻の空母(航空母艦)を主力とする部隊を出撃させる。
その空母の一つである「飛龍」の司令官を務めるのは、山口多聞(山本誠大)。
真珠湾奇襲作戦を成功させた海軍には、少なからず過信があった。
米軍の想像を超える戦力と日本側の作戦ミスもあって、瞬く間に劣勢に立たされた。
空母三隻が海に沈められ、日本軍に残されたのは「飛龍」一隻のみ。
逃げるのか?攻めるのか?山口の決断は、戦闘続行であった。
次々と撃ち落とされて行く、仲間達の乗った戦闘機。

決死の状況の下、山口はギリギリの選択を繰り返して行く。
息子との約束を果たすべく…。



[第三話 森岡寛編(主演:松田 岳)]

1944年4月。海軍厚木基地に、第302戦空隊が結成された。
日本海軍初の本土防空戦闘機隊であった。
「零夜戦隊」の指揮を任された森岡寛(松田 岳)は、
米軍による本土空襲を防ぐべく、夜の空へ飛び立つ。
しかし、米軍のB29爆撃機との格闘の末、被弾。
命は助かるが、それと引き換えに左手を失ってしまった。
片翼をもがれた鳥に、地上で空を眺めるだけの日々が始まる。

時は経って…。
1945年3月10日。首都・東京に、B29の大群が押し寄せる。
いわゆる、「東京大空襲」である。
焼け野原と化した街を目の当たりにして、森岡はある決意を固める。


戦場に、勝者はいない。